世界観

秘宝は深い海の底に住む神竜の命そのものであり、誰にも奪うことも、近づくことすら叶わぬ宝玉。欲にまみれた何人もの人間がそれを目当てに海の底に消えていったが、ある新月の晩、海から大きな悲鳴が聞こえてきた。身を裂くようなその悲鳴の後、突然海が荒れ狂い、嵐が島中を荒らして回った。神竜の守りはどこへ消えたのか?その頃から、新月の夜になると海は荒れ、海から現れた鬼のような怪物が村を襲うようになった。何人もの村人が鬼に食われ、人々は風前の灯にいた。

 

昔々、海に囲まれた小さな島に、漁や農畜でひっそりと暮らす集落があった。その島には神竜という守り神が住んでいて、その神竜の持つ秘宝はまばゆい輝きを放ち、あらゆる災害や邪悪なるものから島を守っていた。しかし時折島の外から、その宝玉を目当てに盗賊が現れるようになった。

 

 

「神竜の秘宝がとうとう奪われたのか?」

いや、奪われたとして、その奪った人間が生きているとは到底思えない。古の慣わしで村人は生贄の娘を海へささげることで、鬼の襲来を防いだ。
その慣わしは今もなお続いている………。

 

生贄に捧げられた少女 海夜(ミヨ)

この不幸な島で生まれ育った彼女もまた、生贄の一人になろうとしていた。
身体に布を数枚巻いただけの彼女は石棺に入れられ海の底にゆっくりと沈んでいった。

海夜は泳ぎが得意だったため海の底は怖くなかったが、徐々に肺が苦しさを訴え始め、
耐え切れず石棺の中でもがきはじめた。
すると神のいたずらか、或いは誰かが仕組んだのか、
手首と足首を拘束していた縄と鎖がするりと外れたのだ。

力を振り絞り、海の底で石棺のフタをずらし、必死で脱出を試みる。

彼女の運命への抵抗が今、静かに始まろうとしている…